跡部様仰天之夕涼

まだまだ家出中跡部様
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跡部様はイライラしていた。全身を襲う不快感。トレーニング中でも無いのに、滲む汗。

暑いのだ。

「おい。てめえら……　暑くねーのかよ！」

「怒鳴ると余計暑いだろ…」
「跡部、まだ29度だぜ」
「もう29度だろうが！」
神尾に借りた安っぽいTシャツを汗で湿らせた跡部様はダイニングにいる伊武と神尾を見おろした。
２人はなんと、ぱんつ1枚で床に寝そべって漫画雑誌を読んでいる。跡部には信じられない行儀の悪さ。
そりゃ…床は涼しいかもしれない。暑いから脱ぐのかもしれない。
しかし。
ボロアパートとはいえ、エアコン完備。
「エアコンがあるだろうが！」

「「エアコンは30度から」」２人の声がハモった。
エアコン完備とはいえ、ボロアパート。
備えられた古いエアコンは、伊武と神尾が暑さに耐えるに値する程
豪快に電気を消費するのだ。
「ちっ…、ここまで貧乏だとは思わなかったぜ…」
「エコです。」
「跡部も転がれよう。涼しいぜ♪」
「断る！」
「しかたねえなあ。」
神尾が立ち上がって冷蔵庫に向かう。その行動に、伊武がハッと顔を上げた。
「神尾、まさか…跡部さんに…」
「いいだろ、深司も食おうぜ！」

主語の抜けた会話が繋がる２人にも苛つく跡部様だったが
神尾が暑さも忘れるほどの満面の笑顔だったので怒鳴るのをグッと耐えた。

「ホラ跡部、食えよ！スッゲーうまいぜ！」
「跡部さんにはもったいないよ…ここらじゃレアなんだからな…ありがたく食べなよね…」
神尾から渡されたのは、棒アイスの袋だった。
跡部様にとっては棒つきアイスが既にレアだった。
アイスと言うのは、食事の最後、皿に美しく盛られて出て来るデザートだ。
しかしこれは
「ミルククック…？」
「「いただきまーす」」
２人はアイスを食べ始めた。
「つっめてー♪んめーっ♪みるくっく〜♪」
「シャク…シャク……みるくっくうまい…」
「……。」
何しろ暑かったし、神尾が親切に差し出してくれたものだ。跡部はミルクックの袋を開けた。

「………。」
「跡部！うまいだろ♪」
「…ああ」

神尾の隣、座り込んだ床も、ひんやりと心地よい。ミルクックは予想外に美味しかった。
しかし跡部様はこの氷菓が遠い南の国から橘さんがクール便で差し入れてくれた物だとは知らない。

床に座り込みアイスを食す３人。
窓からはセミの声と、

隣の部屋の室外機がフル稼働している音が聞こえた。






「さーて、ダッツでも食うか〜☆」

跡部様驚愕之生活

続・失踪跡部様

跡部様はまだ学生ですが
父の仕事を見ていて、父以上に理解したと自負しています。
まとまった資金さえあれば、何とでも稼ぐ方法があるのです。
しかし資金調達の段階で親にバレてしまっては意味がありません。

あの父親のことです。息子名義の証券会社の口座は
どこも全て見張られていると思った方が良いでしょう。
所有していた数多の株も動かせません。

ともかくネット環境が欲しい所です。

しかし神尾はPCを持っていません。
伊武も所持していません。
大学生生活を送るためだけでも用途に応じて5機は欲しい所、それが全くないなんて。
「チッ。この貧乏人が」
「跡部さん今…所持金０円じゃありませんでしたっけ…」
「跡部、学校のパソコン使うか？」


その時
アパートの薄い壁は、隣の部屋の物音を明確に響かせました。

『ジャーン』
…重く響く起動音。

「この安アパートにもデスクトップPC持ってるヤツが居るってのによ！」
「…食費も払えない居候が偉そうに…安アパートだって…笑えるー…」
「なっ…てめぇっ…」

「しんじ〜あとべ〜、ラーメンできたぞ〜♪」


伊武のボヤキに対抗していては、
せっかくの神尾の手料理が伸びてしまう。
決して伊武に言い負かされたわけじゃねえ！

…しかし…庶民の食い物も悪くねえな…

跡部は、そうやって三人で食べるラーメンが
橘さんが箱買いして送ってくれた、うまかっちゃんだとは知らない。





「よーし接続オッケー↑！お隣さんに引越の挨拶に行かないとな〜☆」

跡部様衝撃之事実

いつも拍手ありがとうございます！

昨日の跡部出奔ストーリーの続きです。


まず、伊武と神尾がとんでもなく素で仲良しです。
ふたりはユリップル。
部屋は別にあるのですが、夜更かししたとか冬場は寒いからとか、
単純な理由で頻繁に添い寝します。
神尾に心惹かれているアトベたま衝撃！
一緒のベッドで寝るなんてどんな親密さでしょう！
さらに、光熱費を押さえるため、２人でお風呂に入ります。
神尾に心惹かれているアトベたま大衝撃！
あんな狭いユニットバスに２人で入るとかありえない！

おまえたちはおかしいと詰め寄る跡部様
居候がなにを喚いてるんだとぼやく伊武さん
じゃあ跡部もいっしょに風呂入るか？と聞く神尾たん
黙る跡部様
前屈みになる跡部様
冷たい目で跡部を変態呼ばわりする伊武さん

なんという騒々しさ！

そんな事よりも跡部様は金儲けのツテを２人から探ろうとしますが
ごく庶民の大学生２人にそんなツテはあるはずもなく。

と、そこへ…
ピンポーン☆と軽快にチャイムの音。

「ハーイ♪リズムにハーイ！」
「…神尾…新聞とNHKなら…」
「わかってるぜ♪居留守だろ♪」
「まさかおまえら…新聞とってねーのか!?」




「こんにちはー！引越しのご挨拶で〜す☆」


「…どこかで聞いたような声だな…」


　　ま　　さ　　か　　！？

跡部家跡取失踪事件

ベカミに嵌まったせいでセンイが好きになったのですが、
この２組セットじゃなかったらこんなにも、萌え萌えしていなかったと思うです。

四人が絡む時のバランスがたまりません！
中学時代から仲良しももちろんいいのですが、
こういうのはどうでしょう！

中学時代とくに他校と絡む事も無く数年後。

ダラダラと親友を続けて大学進学を機に
２人暮らしを始める伊武さんと神尾たん。

アパート近くの公園で偶然、跡部さまと遭遇！！
跡部様は公園の水を飲んでいます。
何事でしょう。

なんと跡部様はプチ家出中で、
空腹でフラフラだったのです！
理由は単純に親との喧嘩。
跡部家の威光がなくとも俺様の力でなんとでもなるという態度、
跡部家をここまで大きくしたお父さまがカチンときて
跡部家の名を使わずに着の身着のままで暮らせたりしないだろうと売り言葉、
俺様の頭脳をもってすればゼロからスタートなど余裕だ、と買い言葉。
跡部父子は意地っ張りなので、
景吾ぼっちゃんは本気で身一つで家を出てうろついてみせている最中。
尾行もまき、発信器も破棄。
そんな理由から、使えばバレるキャッシュカードを折り曲げて捨ててしまい
かといって親の知るような友人に頼る訳にもいかず、
OLに逆ナンされて食いつなぐのも限界…

そんな時に、神尾と遭遇！
神尾のことなんて、交友関係として親の情報網にもひっかからない。
足がつかない知り合いを発見したわけです。

久しぶり、というフレンドリーな神尾にご飯を食べさせてもらい、
泊まる所も無いというから、ほだされた神尾たんは
伊武さんと暮らす2DKに連れて来てしまい、
伊武さんにたっぷり嫌味をいわれるベカミ。


跡部様は最初、俺様に恩を売らせてやるぜ、という態度でしたが
下心もなく親切にしてくる神尾がかなり新鮮です。
「神尾よ、てめぇに使わせた金は100倍にして返してやるぜ」
「そんなのいいから、早くお父さんと仲直りしろよな！」

跡部様が神尾に惚れるのも時間の問題です。

でもひとつ屋根の下には伊武さんが…！



…あっ、
四人が絡むのが好きとか言っておいて千石さん出てない！

無意識に間違い

ぼんやりしていて、無意識に動いててビックリしました。
今朝、いつものように上司にお茶を出す時、その人の隣の無人席にお茶を置いて立ち去ってしまい
「？？これー…？俺のお茶やろうー…？？」
と声をかけられ我に返りました。
その一瞬の記憶が無い！全くない！！

たまにやるんですよ！！
手に持っていたはずの物を無意識に失くしているのは日常茶飯事。
他にも憶えている間違いは、小学生の時、朝、押入に布団を仕舞い、
襖を閉めて、襖を開けて、また布団を敷いてからビックリしたり、

ある時は同じように、パジャマを脱いで畳んで広げてまた着たり、
朝寝ぼけてる時だけじゃなくて、
別パターンでは、ご飯終わってから茶碗をシンクに運ぶつもりで
何故かゴミ箱に入れて「ガチャンドサッ」という重い音で我に返ったり
何してるんだろう！
でも今朝のは
お茶を運びながら昨日やってたゲームの王子の国葬の予算捻出で悩む宰相がムキムキ傷だらけの超いい身体だったぜ、しかしどうやって国民の暴動を回避すれば…とか考え込んでいたせいです。すみません。