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一人暮らしの清純くんの飼っている深司にゃん。





ある雨の日、マンションの駐車場の片隅で、ぐったりしている子猫をみつけました。
最初は生き物とわからない程に濡れて汚れていました。
助けようとも、考えていませんでした。
けれど、横を通ったその時、薄く開いた子猫の目と目が、合いました。
驚く程澄んだ光に、引込まれるような錯覚をおぼえました。
気が付けば、大事に腕に抱え部屋へと戻り
元気になるようにと試行錯誤している清純くんでした。

清純くんの必死の看護が実り、子猫は元気になりました。
けれど、さすがは野良猫、なかなか懐きません。
もしかしたら、拾う前に人間に酷いことをされたのかもしれません。
小さくても鋭い牙と爪で、
清純くんはいつも傷だらけでしたが、それも楽しいと思えました。
なにしろ、清純くんの拾った子猫は、本当にほんとうに、可愛いのです。

その日、清純くんの部屋に友だちが遊びにやって来ました。
「いらっしゃーい亜久津」
亜久津くんは入るなり、突っ立ったまま部屋の惨状を見ています。
ひっくり返った餌、カーテンはボロボロ、ついでに清純くんもボロボロで
ズタズタの壁よりもズタズタになっているのに、満面幸せいっぱいの笑顔なのでした。

原因はすぐにわかりました。
部屋の角にいる、小さな子猫が清純くんに向かって毛を逆立て威嚇しているのです。
「猫か」
「うん、かっわいーんだー。おいでーあっくんに挨拶しよ〜ね〜」
清純くんの伸ばした手を避け、素早い動きで猫が移動します。
さらにそれを追う手。捕まえたかと思えば暴れて逃げる子猫。

亜久津くんは、清純くんの動態視力と捕獲能力をフルに発揮して追うしつこさにちょっとだけ感心しました。
でもそれ以上にキモイと思いました。
伸びきった鼻の下、いやらしい笑顔と猫なで声、前屈みの捕獲体勢。
子猫じゃなくても逃げたくなります。
捕まえても強く押さえつけたりしないために、猫は何度でも逃げます。
猫に同情したくなりました。

それを見るのも飽きて、テレビの前に陣取り寛ぎ始めた亜久津の懐に
すっぽりと子猫が飛び込んできました。
猫が本気で容赦なく噛むことを知っている清純くんは、
噛まれた亜久津が怒るのではないかと思って慌てました。
「あっくん!乱暴にしちゃだめだよまだ子猫なんだか……ら?」

静かです。
爪もたてていません。

「……」
「……」
亜久津くんが指で適当に撫でてやると、やがて猫は安心したのか寝てしまいました。
猫の様子を気にした風もなく、亜久津くんはのんびりテレビを見たままです。

床に崩れ落ちた清純くんが、ほふく前進で近寄って来ました。


「あくつううー俺もナデナデしたいいいーいい〜…」
「起きちまうだろうが」

テレビの音声に、清純くんの嗚咽が混ざって聞こえました。


ちなみに、
南くんが遊びに来た時も、東方くんの時も、新渡米くんも錦織くんもの時も

同じ現象がおこります。

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