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「神尾様でございますね」
「はい!」
広いポーチに立つ制服姿の使用人が、恭しく扉を開けます。
 「おじゃましまー…」

「「いらっしゃいませ」」
「…こ、こんにちは!」

神尾が館の玄関を抜けると、数名のメイドと執事が
そろって深々と頭をさげてきました。
こんな挨拶をされたのはオープンと同時に新宿の百貨店に入った時以来です。
あの時もびっくりしましたが、
彼らは店員さんではなく、跡部の家の人たちなので、
神尾も慌てて挨拶を返しました。

エントランスホールに続く階段を、優雅に跡部が降りて来ます。
「よく来たな」
「おう!跡部!」
かしずく大人たちに緊張してしていた神尾はホッとして跡部の側に寄ります。
その途中でフと足を止めてしまいました。
跡部が不思議そうに首を傾げます。
神尾は自分の足元を見て、次いで跡部の足を見て、使用人たちの足元を見ました。
スニーカーでふかふかじゅうたんを踏む事に激しい抵抗を感じているのでした。

ホールの真ん中はじゅうたんですが、端の方はつやつやした床のようです。
しかしいまさら迂回するのも変です。
「跡部、ここ、踏んでいいんだよな?」
「ああ?」
「土禁じゃねえよな?」
「おまえいつの時代の日本人だ」

呆れて言う跡部に続いて階段を上がります。
考えたくありませんでしたが、この吹抜けの玄関に
神尾の家はすっぽり入ってしまうでしょう。
今日も朝早く仕事に出かけた父の事を神尾は思いました。
神尾家の住宅ローンは30年返済です。

「跡部の部屋って広いのか?」
「あまり広くても落ちつかねえからな。…ここだ」
示された入口のドアは大きな両開き。
神尾は跡部の落ち着く広さは広いに違い無いと思いました。
しかし中に入ると、そこそこの広さの応接室でした。

「すげー、ふかふかソファだなあ、そっちの部屋は?」
横の壁に片開きのドアを見つけて神尾は興味本位に訊ねます。
「そっちは執事室だ。こっちだ。」
跡部は応接セットを素通りしました。
奥にまた重厚な両開きのドアがあります。
壁いっぱいのドアは立派すぎて、逆に見逃していたのでした。

「こ、今度こそ跡部の部屋だな!?」
「なに興奮してんだおまえ」
「遠いんだよ!!」

やたら力んで言う神尾の顔を見て、跡部はちょっと笑いました。

--そうだな、恋人の部屋っつーのは、緊張するもんだよな。

「うー、ドキドキするぜ!」
神尾は全く違う意味で緊張しているのでした。


--------
おわり

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