日常的に四人のネタ混ざります
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東京の下町、明け六つの刻。 今年7つになる神尾くんは、 ボコボコのアルミ製のボウルを抱えて走っています。 ポケットには銅貨が一枚。 先程、おかあさんに「おとうふ2丁、買ってきて」と言われ おつかいに走っている最中なのです。 朝ごはんはまだ。 今から買って帰るお豆腐が、朝餉に並ぶはずです。 お豆腐屋さんの通りに飛び出すと、目の前に車が飛び出してきました。 本当は神尾くんが飛び出したわけですが、 危うく接触を免れて、朝の町に響く急ブレーキ。 神尾くんは驚いて尻餅をつき、 目を丸くして黒くてピカピカの車を見上げました。 停止と同時に後部座席のドアが開き、「ぼっちゃま!」と 制止するような運転手の声を無視して少年が降り立ちます。 神尾くんはポカンと口を開けて、自分と変わらない年頃のその少年を眺めました。 昨日みんなで、深司くんの家のテレビで少年探偵団を見ました。 探偵団のひとりが、テーブルに椅子で、パパママと洋食を食べているシーンを見て 神尾くんは「いいなあお金持ちだ!」と目を輝かせていたのですが 今、目の前に立った少年は、神尾くんのささやかな知識と本能がそれ以上だと告げます。 神尾くんを見おろす男の子が、何か言おうと口を開いた瞬間。 その見目の良い賢そうな頭にスコーン!と小気味良い音をさせ、 アルミのボウルが命中しました。 神尾くんが転んだ際に空に向かって飛んでいったボウルが 重力に引かれ落ちて来たのでした。 男の子は目から星を出してフラつき、 運転手が悲鳴に近い声で2度目の「ぼっちゃまー!」を発言しました。 神尾くんは、今朝のおつかいは大幅に遅れてしまう予感がしました。 男の子がひどく睨んでくる鋭い目つきに気付くと その予感は現実になる予感がしました。 おつかいが遅れるとは、朝ご飯が遅れるということ。 お腹が控え目に、ぐう、と鳴りました。 -------- 不動峰は昭和が似合う。 PR |
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