日常的に四人のネタ混ざります
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 踏み出した足は、青く生い茂る草を踏みズルリと滑る。 休んでいた木陰から外に大きな高低差があったようで ザザ…、と草に滑り落ちてゆく。 慌ててバランスを取りながら耳にしたのは、騒がしかった子どもの高い声。 それがまるで 200人の部員が練習に励む、テニスコートのざわめきの様に変わっていった。 跡部のテニスシューズはグッと地面を踏んで、転倒を免れた。 目の前では、レギュラーがコートを使い、それぞれ練習に励んでいる。 「跡部、どないしてん、ボーッとして」 「…」 ベンチに座っていた跡部はひとつ息をつくと、 目頭を指で揉んで斜め後ろに立つ忍足に視線を向けた。 「別に。…今日はやけに暑いな」 「部長がバテとったらあかんでー?」 「俺様がバテるだと?笑わせんじゃねーよ。」 しかしいつの間にか僅かな時間寝ていたようで、何か夢を見ていた気がする。 いや、確かに夢をみていた。 思い出そうとしたところを、のんびりした関西弁が遮る。 「暑ても、岳人は今日もよう飛んでんで」 コートではピンクのおかっぱが素晴らしい連続宙返りを披露しているところだ。 相変わらずのペース配分に、跡部は苦笑混じりに肩を竦め呆れて見せ、ベンチに背をあずける。 「ったく飛びすぎてまたバテちまうだろうが」 違いない、と笑って忍足はコートに目を向けた。 黄色いボールが飛び交い、弾む。 何十個という数のテニスボールが右に左にと移動している。 ボールの数が多い。なぜこんなにボールを使っているんだ? 跡部は不審に思いベンチから背を離し身を乗り出す。 「さすがガッくんやなあ〜」 「お、おい忍足」 テニスボールは増えるばかりで、 あろうことかボールと同じ早さで岳人が弾んでいた。 何百個という数のテニスボールが右に左にと移動している。 ボールが風をきる音がゴウゴウとうるさいほどだった。 速すぎて目で追えない数が行き交う。 「忍足これは、」 「なんや、神尾くんの方が、速い?」 そうだ、夢に神尾が出て来たはずだ。 黄色いボールが視界を埋め尽くす。 クレイコートに弾む音がいくつも重なり耳鳴りの様に大きな音となる。 数が増え過ぎてコートから溢れたボールが跡部の座っていたベンチにも向かって来た。 それでも岳人が飛んで、忍足は手を打って喜んでいる。 「おーい、あとべー♪おーい」 「……ッ」 周囲の音が大きくて神尾の声がよく聞こえない。 自分の声も聞こえない。 いや、神尾を呼んでいるのに、声が出ていないのだった。 うまく声が出ない。 腹に力を込め、神尾の名を呼ぼうと息を吸うが、酸素が肺に届かない。 呼吸できない苦しさに跡部は目を覚ました。 「…!!」 「あ、跡部、どうしたんだ?汗びっしょりだぜ」 PR |
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