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日常的に四人のネタ混ざります
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【国内豪華クルーズの旅】

跡部様はわけあって3泊4日で大型客船に乗ることになりました。
船は横浜〜苫小牧を往復するだけ。
おとなの事情による成り行きとはいえ、顔出しすれば済むだけの、短い気楽な旅です。
なので、せっかくだから神尾も誘おうと思いました。
旅行案内の冊子が送られて来ていたので、見せて「これに行くぞ」と声をかけます。
神尾は大きな豪華客船の写真に歓声を上げ最初は乗り気でしたが
案内を読むうちに口数が減っていきました。
どうしたのかと問えば、旅行代金の項目を指さすのです。
たった3泊4日なのに、神尾の想像を超えた桁違いの金額です。
部屋ごとに設定料金が違うので、神尾は念のため聞いてみました。
当然のようにロイヤルスイートだと答えられました。
ロイヤルスイートは、左から順にランクが上がる金額表の一番右です。
…1名様料金、740,0000円。
神尾は目を何度も擦りましたが、ゼロの数は変わりません。
北海道までのはずなのに、これだけかければ、地球上のどこへだって行けそうです。
こんな高いの無理、と伝えても、跡部は不思議そうな顔つきになるだけ。
跡部家リムジンや跡部家クルーザーや
跡部家ヘリや飛行機や飼ってる馬エトセトラは断らないのに、今さら何を?
といった具合です。
けれど、数字を見るか見ないかで気持ちはずいぶん違います。
神尾にとっては全く違う話なのです。
跡部はため息をついていいました。
ロイヤルスイートは、2名を対象とした部屋だから神尾を誘ったのです。
料金のことは気にしていませんでしたが、
もともとロイヤルスイートは、跡部が1人で利用しても料金200%を払う必要があるのです。
神尾は「なんでだ!」と天を仰ぎました。
740,0000+740,0000という式が浮かんで、顔を引きつらせます。
ゼロが多過ぎて単純な足し算なのに計算できません。
そしてハッと気付き、シツジさんも一緒じゃねーの?とたずねます。
顔出しのみとはいえ、跡部家の事情の一環なので、いつものように誰かがつくのでは、と思ったのです。
跡部はこともなげに頷いて、当然来るが別に部屋をとってるに決まってんだろ。
ちなみに、執事は低いランクの部屋だが、1人部屋ではないので当然こちらも上乗せ料金が発生している。
そう返答されて神尾は頭をかかえました。
2人部屋に別々に泊まって余計に代金を払う心理が全くわかりません。
神尾が机上のパンフに突っ伏したまま呻き、喉から絞り出した言葉は、庶民らしい結論でした。

「…も…もったいねーから…ついて行く…」
「最初からそう言えよ。」


少々もめましたが、2人一緒の船旅はきっと楽しいものになるでしょう。

しかしこの後、神尾はまさかの
「ディナーはドレスコード有」に悶えまくることになるのでした。


 とっぴんぱらりのぷぅ


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にゃんこ神尾は跡部のことが大嫌いです。
どうして嫌いなのかというと、でこぴんされるからです。
ことあるごとに、小突かれます。
神尾は毎日、ごはんとおやつをもらうたびに、虐待されているのです。
友だちの深司は、「ムカつくなら引っ掻いてやれば?」
と言うのですが、目の前にそれはおいしそうなご飯があるというのに
他のことに時間を割いてはいられないのでした。
そう答えると、深司は冷たい目になってもう口を聞いてくれません。
「なんだよぅ、構えよ深司よぅ、構ってくれよぅ!」
ひなたぼっこ中の深司は尻尾以外動かず、ぷうとふくれた神尾は
深司に乗っかり、転がり、たしたし尻尾を追い、背中を背中にスリスリしました。
深司の居る場所が一段高く狭かったので、なかなかハードな運動になりました。

「テメェ、神尾!またこんな所で転がっていやがったか」
跡部の不機嫌な声がしたので、神尾は「どこにいようと俺の勝手だ!!」
と、うなって威嚇しましたが、
パカン!!というごはんを準備する音がしたので慌てて跡部の元へ駆け寄ります。
ごはんが、神尾の蛍光黄緑色のお皿に移されるところです。
大喜びで食べようと頭から突っ込みましたが、
「痛ぇ!」
跡部の強烈なデコピンを食らい神尾はおでこを押さえて呻きました。
またしても暴力です。
神尾はごはんから目を離すことができませんが、とても腹が立ちました。
「許さねぇからな、あとべ!おまえ飯食ったら、後でみてろ!」
「アーン?」
「俺が良いって言うまで喉をコショコショしろ!首の後ろもだ!わかったか!」

神尾がニャンニャンわめくのを子守唄に、
深司は千石さんの膝の上で、撫でられながらうとうとしているのでした。

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画像は神尾ちゃんの白虎的コスプレ
100k超えた重いよ。


着せたっていいじゃない。
好きなんだもの。

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3

バクバクとうるさい心臓の音。
飛び起き、目に入ったのは見慣れた部屋だった。
個人で使用しているマンションの一室だ。
ソファで寝てしまったようでクッションに埋もれ突っ伏していたらしい。
心配そうな神尾の声を聞いて身を起こす。
「ソファなんかで寝るの良くないぜ、跡部」
「…俺は寝ていたのか?」
テレビを見ていたらしい神尾が、こちらを見ている。
相変わらずの間抜け面だ、と思うが、今の状況では自分も相当かもしれない、とため息をついた。
そうだ、今日は神尾が遊びに来ていたのだと思い出して安心した。
久々に神尾の顔を見た気さえする。
「なんだよぅ、夢でもみてたのか?」
「ああ」
「しようがねぇなあ~、何か冷たいもの飲むか?」
自分を気遣う神尾が側にいる。
跡部は充足感にひたり、僅かに残る不安をかき消す様に小さく頭を振って前髪をかきあげた。
「そうだな。水がいい」
注文を聞いた神尾は頷いて、テレビに向かって元気よくつげる。
「深司!跡部が冷たい水飲みたいって!俺は冷蔵庫のジュース取って来るからな♪」
そしてスタスタとキッチンに行ってしまった。
跡部はポカンとその後ろ姿を見送り、テレビのノイズにハッとした。
高画質な液晶画面はまるで壊れたブラウン管のような砂嵐を映し出した後、
粗い画像の不気味な風景を写す。
古ぼけた井戸から、ヌッと白い手が現れ、思わずテレビ画面を凝視する。
音声は聞き取りにくいが人の声がする。
『まったく…神尾は…人使いがあらいな…まあ…ゆるすけど…』
跡部は消してしまおうとテレビのリモコンを探すが見当たらない。
もたつく間にも、井戸から現れた不気味な姿がこちらへと近寄って来る。
キッチンに向かう方が早いと判断してソファから立ち上がった。
『あれ…跡部さん…水は…?』
「神尾!おい、なんでテレビに…」
神尾は涼しい顔で冷蔵庫からジュースを取り出して、キョトンと跡部を見て首を傾げる。
「どうしたんだ?そうか、氷、いるか?」
「そうじゃねーだろ!」
「落ち着けよ跡部、氷とって来てやるからな!」
笑顔で言った神尾は、ベランダに繋がる掃き出し窓をカラカラと開け放つ。
高層階とはいえやけに強い風が室内に吹き込みカーテンが大きく煽られた。
外は明るすぎて真っ白に見えるほど眩しい。
「神尾?待て!」
「大丈夫だ、待ってろよ跡部!俺がリズムに乗って取って来てやる!」
ベランダに立った神尾は両腕と純白の羽を広げてフワリと上空へ飛び上がった。
跡部はギョッとしてベランダに駆け寄ったが、強い光で目を開けていられない。

「神尾!?おい、神尾っ、かみ…  神尾!」


「ちょっと、跡部クン。寝言でまで神尾くんかい?」
呆れた声が、頭上から聞こえた。

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2

踏み出した足は、青く生い茂る草を踏みズルリと滑る。
休んでいた木陰から外に大きな高低差があったようで
ザザ…、と草に滑り落ちてゆく。
慌ててバランスを取りながら耳にしたのは、騒がしかった子どもの高い声。
それがまるで
200人の部員が練習に励む、テニスコートのざわめきの様に変わっていった。
跡部のテニスシューズはグッと地面を踏んで、転倒を免れた。
目の前では、レギュラーがコートを使い、それぞれ練習に励んでいる。

「跡部、どないしてん、ボーッとして」
「…」
ベンチに座っていた跡部はひとつ息をつくと、
目頭を指で揉んで斜め後ろに立つ忍足に視線を向けた。
「別に。…今日はやけに暑いな」
「部長がバテとったらあかんでー?」
「俺様がバテるだと?笑わせんじゃねーよ。」
しかしいつの間にか僅かな時間寝ていたようで、何か夢を見ていた気がする。
いや、確かに夢をみていた。
思い出そうとしたところを、のんびりした関西弁が遮る。
「暑ても、岳人は今日もよう飛んでんで」
コートではピンクのおかっぱが素晴らしい連続宙返りを披露しているところだ。
相変わらずのペース配分に、跡部は苦笑混じりに肩を竦め呆れて見せ、ベンチに背をあずける。
「ったく飛びすぎてまたバテちまうだろうが」
違いない、と笑って忍足はコートに目を向けた。
黄色いボールが飛び交い、弾む。
何十個という数のテニスボールが右に左にと移動している。
ボールの数が多い。なぜこんなにボールを使っているんだ?
跡部は不審に思いベンチから背を離し身を乗り出す。
「さすがガッくんやなあ〜」
「お、おい忍足」
テニスボールは増えるばかりで、
あろうことかボールと同じ早さで岳人が弾んでいた。

何百個という数のテニスボールが右に左にと移動している。
ボールが風をきる音がゴウゴウとうるさいほどだった。
速すぎて目で追えない数が行き交う。
「忍足これは、」
「なんや、神尾くんの方が、速い?」

そうだ、夢に神尾が出て来たはずだ。
黄色いボールが視界を埋め尽くす。
クレイコートに弾む音がいくつも重なり耳鳴りの様に大きな音となる。
数が増え過ぎてコートから溢れたボールが跡部の座っていたベンチにも向かって来た。
それでも岳人が飛んで、忍足は手を打って喜んでいる。
「おーい、あとべー♪おーい」
「……ッ」
周囲の音が大きくて神尾の声がよく聞こえない。
自分の声も聞こえない。
いや、神尾を呼んでいるのに、声が出ていないのだった。
うまく声が出ない。
腹に力を込め、神尾の名を呼ぼうと息を吸うが、酸素が肺に届かない。

呼吸できない苦しさに跡部は目を覚ました。

「…!!」
「あ、跡部、どうしたんだ?汗びっしょりだぜ」

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